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(1) 睡眠は心身のメンテナンス  有料会員セミナー 「生活習慣病としてのうつ病」より
2013/04/22(Mon)
4月29日(祝)に、小堀修先生のセミナー「うつと人間関係のための認知行動療法               ~~能動的な人間関係を目指して~~を開催致します。

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ちらしは、⇒どうぞこちらをご覧下さい。





読売新聞 有料会員セミナー「病院へ行く前に~生活習慣病としてのうつ病」が読売新聞東京本社で開かれ、
井原裕・独協医大越谷病院こころの診療科教授が講演をなさいました。
井原教授は、うつのような症状が現れた場合でも、すぐに薬に頼るのではなく、まずは睡眠、運動、飲酒などの生活習慣に問題がないかのチェックが大切であることを、丁寧に解説なさいました。講演と質疑応答の内容を紹介します。



独協医大越谷病院 こころの診療科教授 井原裕(いはら・ひろし)さん

 1962年、鎌倉生まれ。東北大学医学部卒業。自治医科大学大学院、ケンブリッジ大学大学院を修了。医学博士、PhD。順天堂大学准教授を経て、2008年1月より独協医科大学越谷病院こころの診療科教授。専門は、司法精神医学、精神病理・精神療法学、思春期精神医学で、その関連学会(司法精神医学会、うつ病学会、精神病理・精神療法学会等)の評議員を務める。著書に「精神科医島崎敏樹」(東信堂)、「激励禁忌神話の終焉」(日本評論社)、「精神鑑定の乱用」(金剛出版)、「思春期の精神科面接ライブ」(星和書店)など。



では、以下に内容を掲載致します。

どうぞぜひご覧ください。



うつ、不安、不眠、こだわり、こういうメンタルな症状があると、「精神科やメンタルクリニックを受診しましょう」、と一時期言われていました。それが間違っているとは申しません。
でも、残念ながら現状の精神科医、心療内科医の診療の仕事ぶりは、「じゃあ薬を出しておきます」となるだけです。そこを私は心配しています。


 

 都市部の病院にいらっしゃる患者さんの多くは、病気というより、むしろ「悩める健康人」です。
薬は、病気の人に使えば病気を治すことができますが、「悩める健康人」をもっと健康にするものではありません。
薬は、飲めば飲むほどヘルシーになる、というものではないんです。
薬を必要としている患者さんに限定して意味がある。
必要としている患者さんでも、必要な量を越すとよろしくない。
必要でない薬まで飲んでしまうと、副作用が出てしまう。そのように、薬物療法は諸刃の剣で、効果と副作用があるものですから、それをわきまえるのが精神科医の仕事のはずなのです。

でも、現状ではなかなか十分に薬のマイナス面を認識できていないところもあります。


 私の勤める独協医大越谷病院では外来にいろいろな患者さんが来ます。その多くの患者さんは「悩める健康人」です。「悩める健康人」の方に対しては、薬物療法の前に、むしろ、生活習慣を見直すことで、ヘルシーな生活を送っていただき、悩むべきことを上手に悩んでいただきましょう、そういうことを普段アドバイスさせていただいています。

 生活習慣といえば、まず第一には、食事や運動、たばこ、お酒です。でも今日は、心の健康のために、もう一つの大切な生活習慣をここに加えていただきたい。それは何かといいますと、「睡眠」です。
 

 睡眠に関しては、幻想が多すぎます、一般の人たちに信じられていることには嘘(うそ)が多すぎる。例えば、「ナポレオンは3時間しか寝なかった」。実際には「ナポレオン幻想」は根拠がない。ナポレオン三段論法とは、「1.ナポレオンは3時間しか寝なかった」「2.ナポレオンは英雄だ、おれも英雄になりたいよ」「3.だから3時間しか寝ないぞ」、ということですね。ところが、実際には、側近の回顧録等によると、ナポレオンはけっこう昼寝をしていたという説があります。会議中に寝ていたと。だから本当に3時間しか寝ていないわけではないんですね。ただ、いざ戦いとなったら、スタンバイOKで、3時間しか寝ないけれど十分に戦うことができたんだと思います。逆に言えば、普段は体調を整えていたから、いざという時に3時間睡眠で戦えたのだろうと思います。



 これは私たち医者にも言えることで、医者こそがナポレオン幻想の虜(とりこ)になっている。私も病院で当直をしますので、夜中に患者さんが具合が悪くなったら1、2時間しか眠れない時もあります。でも、私たち医者の場合は、「もしかしたら明日の当直は全く眠れないかもしれないぞ」という覚悟をしなければいけないので、逆に言えば普段から体調を整えておいて、万が一、明日の夜の当直で急変して眠れなかったとしても、できるだけ次の日の仕事へ支障が少なくなるように、普段から体調を整える、そういう考え方をしておくべきだと思います。ナポレオンの例に戻りますと、毎日3時間睡眠で大丈夫ということではなくて、いざとなったら3時間睡眠になることもありえる、だからこそ、普段から十分眠ってコンディションを整えておくことが大切なのだと思います。

 長時間睡眠は無能の証拠、と思っている人も大勢いますが、実際には、長時間睡眠を公言している著名人もいます。堀江貴文さん8時間、石原慎太郎さんも9時間くらい寝ると。アスリートは長く眠りますね、イチロー9時間、タイガー・ウッズ10時間といわれています。お相撲さんも激しい運動のあとたくさん眠ります、寝ている間に体が作られることをアスリートはよく知っているからです。眠るのはトレーニングの一環なんです。アインシュタインは10時間寝たと言われています。

 睡眠幻想の3番目「睡眠は休息である」。これも間違いです。
医学的に見て睡眠は休息ではありません。心身のメンテナンスは夜間作業です。免疫力、治癒力は睡眠中に作られます。寝る子は育つ。これは内分泌学的な根拠があります。成長ホルモンは眠っている間に分泌が高まります。睡眠中に血や肉が作られ、睡眠中に甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、プロラクチンなどのホルモンの分泌が高まります。

これらのホルモンは、小さい物質を素材として大きい物質を作る、同化という作業をしています。つまり、人体という工場の中でモノを作る作業は、夜、行われているわけです。心身のメンテナンスは夜間作業です。女性の方はたぶんご存じだと思いますが、みなさんの美しさはいつできるのか。これは眠っている時ですね。ですから、朝目覚めて鏡を見た瞬間に、「きょうの私はきれいだわ」と思うかどうか、何が違うのかというと睡眠なんです。

 
 睡眠幻想その4、「酒を飲むとよく眠れる」、これも間違いです。酒は睡眠の質を悪くします。睡眠にはいくつかの段階がありますが、大切なのは深い睡眠です。酒を飲むとこの深い睡眠が減ってしまいます。脳波を取ってみると実際には睡眠は浅いです。また、中途覚醒が多くなり、尿意を催して目が覚めてしまうこともあります。アルコールをたくさん飲んで23時ごろ寝ると、午前3時ごろにアルコールの血中濃度がストンと落ちるので、そこで目が覚めてもう眠れない、ということもあります。アルコールは睡眠の質をはなはだ悪くします。


(2013年4月1日 読売新聞掲載分)


ヨミドクター通信  第293号 2013.4.3
読売新聞の医療・介護・健康情報サイト「yomiDr.(ヨミドクター)」より掲載致しました。



ご覧になっていかがでしたでしょうか?


特に以下の部分は理解しておいた方がいいと思いますので、重ねてお伝えしておきます。

薬は、飲めば飲むほどヘルシーになる、というものではないんです。
薬を必要としている患者さんに限定して意味がある。
必要としている患者さんでも、必要な量を越すとよろしくない。
必要でない薬まで飲んでしまうと、副作用が出てしまう。そのように、薬物療法は諸刃の剣で、効果と副作用があるものですから、それをわきまえるのが精神科医の仕事のはずなのです。

でも、現状ではなかなか十分に薬のマイナス面を認識できていないところもあります。



医師の中でも、薬のマイナス面を認識していない方もいらっしゃる事を、医療消費者である、私たちは理解しておいた方が良いと思います。


               







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